私は現在、30代後半で会社をやめてある士業の事務所を開業し、もうすぐ自営業5年目に突入する40代男子です。
そんな私が日雇いバイトに行くきっかけとなったのは、開業して3年目が終わろうとしていた冬のことです。
開業3年目、税金の罠にはまる
確定申告の計算を終えた私は、愕然としました。
「所得税、超多い・・・!」
ちなみに、自営業者の税金の納め方はサラリーマンのような給与所得者とは違い、毎月支払うのではなく、年度末(※個人事業主であれば12月末)までの売り上げから経費を引き、もろもろの計算をした上で残った利益に対して課税されます。
つまり、確定申告で計算した前年1年分の所得税を、3月から4月に一括で払うことになるので、けっこうな額の現金が一度に出ていくことになります。
本来であれば、ある程度その出費を予想して、備えておくことが必要なのですが、自分の場合、1年目と2年目が赤字で課税がなかったため、なんの計算もせずのほほんと3年目を終えたところ思いも寄らない額の所得税を支払わなくてはいけないことを知り、びっくり仰天したというアホさ加減でした。
税金を払うということは利益が出ているということなので、業績が上向きなのではと思うかもしれませんが、実態としては
開業1年目
普通に赤字。
開業2年目
業績好調だったが、売上が入ってくるのが受注から半年以上かかることと、1年目の赤字分があったので課税を逃れられる。
開業3年目
急に業績傾くが、2年目に受注した分の売上が入ってきていて「そのうちまた上向くだろう」という希望的観測で1年を過ごすも業績回復せず。
という状態だったため、4年目の現金収入は激減することがはっきり見えていました。
そんななかでの予想外の所得税の額に、はっきりいって若干パニくった自分がいました。
バイトの他に選択肢なし
パニくりながらも今更ながら次年度の資金繰りを計算してみたところ、本業の収入だけでは数カ月以内に現金が底をつく可能性もあり、
「あかん、バイトやバイト!!」
となったわけです。
普通は開業して1年目などにはアルバイトをして、本業の売り上げを補てんするようなパターンが多いのですが、自分の場合は
「目先の小銭のためにバイトするよりも、本業に集中して早く軌道にのせるんだ!」
という信念のもとバイトは頑なに拒んでいたのですが、ここにきて目先の小銭がどうしても必要になるという悲しい現実にご対面です。
とはいえ、すでに年齢は40過ぎ。
アルバイトは学生時代以来20年ぶりくらいのことで、いったい自分が働ける場所があるのかどうかもよく分かりませんでした。
また、バイトといっても本業の合間にしかできないので、固定シフトで勤務するのは難しいと思い、まずは短期や日雇いのバイトかなとも思いました。
なお、学生時代は常勤型のバイトしかしたことがない自分としては、日雇い初体験ということになります。
そこで、ネットで「日雇い バイト」と検索してみると、いくつかのアルバイト求人サイトが引っ掛かりました。
サイトで日雇いや短期に絞って検索をかけてみると、「簡単シールはり」、「ペットボトルのおまけつけ」、「DMの仕分け」などの軽作業系、や工場、倉庫、警備、引っ越しなどが主なようです。
また、求人サイトから直接応募するのではなく、日雇いバイト専門の派遣会社のようなところにまず登録をすることが必要なことも初めて知りました。
まずは、登録ということで軽作業系を紹介している会社に4社ほど登録をすることにしました。
4社のうちで2社は聞いた事のない会社で、ネットから予約した上で、実際に会社に行って登録することが必要でした。
この2社はこの記事でその実態から、昭和型と呼んでいきます。
残りの2社は大手のようでなんとなく名前も聞いたことがあり、登録もネット上で完了しました。
登録会にいってみた
会社での登録会自体はどちらも似たようなもので、日雇いバイトのしくみや会社とのやりとりの仕方の説明や、簡単な面談があり、会員証的なものが発行されます。
ちなみに昭和型の1社の登録会の最中に、給料の受け取りにきた若者がいたのですが、尋常ではなく態度が悪くて、
「日雇いバイトで働くひとってこんなかんじなの・・・」
とブルーになりました。
また、バイトの給料が手渡しであることにもちょっとびっくりのカルチャーショックでした。
登録会自体は1~2時間で終了しました。
翌日から電話鳴りまくり
登録会に行った翌日、登録した昭和型の会社からの電話が携帯にありました。
電話に出てみると「明日○○で仕事があるんですが、行けませんか?」とのこと。
その会社は、携帯サイトから働ける日と時間を登録して電話でその条件に合うバイトを紹介してくれるスタイルだったのですが、まだその登録すらしていないのに電話がかかってくることにびっくりしました。
当然、その仕事は断りました。
また、そもそも働ける日と時間を登録するだけで、仕事内容を見て応募できないスタイルは自分としては「ありえない」話でした。
その日以降も、もう1社昭和型の会社からのものも含め、電話はなりつづけましたが、シカトさせて頂くことにしました。
やはり案件は選びたい
一方で、大手の2社はサイト上で、仕事内容を見ることができて、ネット上で応募も合否の連絡も完結するタイプだったので、専らそちらを使うことにしました。
ちなみに1週間くらい前に応募しても合否の連絡が前日の夜だったりすることもあり、しかも意外と落ちることもあります。
初めて日雇い仕事をしたのはパン工場でのバイトでした。
「パン作りならそんなにきつくないかな?」
という素人考えです。
そもそも工場でバイトしたこともなく、帽子とマスクをつけてクリーンルームを経由して働き始めること自体、未体験ゾーンでした。
作業場に入る前に、爪の長さをチェックする人が、東南アジア系の人で、工場内でも半分くらいがマレーシア人?だったので、こういう人たちが日本を支えているのね、という感じです。
仕事自体も中々キツク、ベテラン日雇いのおばさんの罵声を浴びながら、ベルトコンベアで流れてくるパンに決められた量のチーズをのせるのにこんなに集中力と熟練がいると知りませんでした。
8時間のバイトが終わった後はパン作りでまさかの筋肉痛です。
ということで、そこは1回で終わりにしました。
ちなみにそこでは某大手コンビニのパンを作っていて、今でもコンビニでそのパンを見るたびに工場のことを思いだします。
その次にやったコンビニの商品の(またコンビニ・・・)倉庫でのピッキング仕事は、工場の作業に比べると格段に楽でした。
ハンドスキャナのような機器に表示されるものをひたすら出荷先店舗ごとカゴ車にのせていく作業をもくもくと繰り返すのみで、自分のペースで進めることができました。
ここは、その後何回もリピートしてお世話になりました。
40代、初めての日雇いバイトで知った現実まとめ
結局、この日雇いバイト生活は数カ月で終了しました。
本業がうまくいきはじめたというわけではなく、日雇いバイトの効率の悪さに嫌気がさしてきて、結局近所で常勤のバイトを始めたからです。
効率の悪いポイントとしては
- 交通費がでないので、手取りが減る。しかも、工場や倉庫はだいたい駅からバスの僻地にある。
- 毎回、日雇い会社に出勤報告を入れたり、バイト先で契約書や給与の振込先を書くのがめんどくさい。
- 直前まで合否が分からないので、空いている日に働けるとは限らない
などの点です。
また、日雇いバイトの現場では、日雇いのおじさんが日雇い会社の担当者にめっちゃ電話で切れられている様などを眼にしたり(出勤報告を忘れたりすると「もう仕事は紹介できない」などと脅されるらしい。)、現場から駅までの無料送迎バスにのるためにおじさんおばさんを抜かしてダッシュしたり(ダッシュしないと満席になって、次のバスまで30分くらい待たされる。)、自分の心がすさんでいく感じもいやでした。
結果的に、ほんの数カ月の日雇い初体験でしたが、自分としてはかなり社会勉強にもなりました。
後、正直言えば、日雇いバイトしないですむように本業がんばろうというモチベーションにもなりました。
日雇いはできればやらないに越した事はないと思っていますが、自分と同じ様な状況の方の参考になればと思います。